目が覚めると服が無かった。
それどころか顔の下に人肌の感触がある。
というよりも誰かの胸に伏せて寝ている。
なんてこった。
ディーン・スミスは脳内で呻いた。
昨日の記憶がさっぱりないが、自分が頭を乗せているのは明らかに男の胸だ。肩を抱かれているこの態勢と身体の感じから考えると、昨夜の自分は久々のボトムだったらしい。
ちらと見回せば自分の部屋で、思わず舌打ちしたくなる。
行きずりの相手を自宅に入れるなんて、うかつなことをした。まともな奴ならいいんだが。
相手を起こさぬようにそっと身体を起こし、ベッドを出ようとしたディーンは目に入った顔を見て思わずもれそうになった罵声をかみ殺した。
昨夜の自分は一体何を考えていたんだ。
ベッドの真ん中を占拠して寝ているのは、少し前に幽霊騒ぎで知り合い、そして縁を切ったはずのコールセンターのイカレ男、サム・ウェッソンだったのだ。
しばらく固まっていたものの、こうしていても仕方がない。なにせ自分の部屋なのだから、こっそり出るというわけにもいかない。
とりあえずシャワーでもと立ち上がった。
バスルームに向かいつつ、部屋の惨状をみる。グラスや空き瓶の散らばるテーブル周辺からソファ、そして寝室へと点々と脱ぎ捨てられた衣服が散らばっていて、なんとも生々しくいたたまれない。
挙げ句ベッドにいるのがあのデカイ男とくればなおさらだ。
どうやって穏やかにお引き取り願うか。
そう思いつつシャワーを浴び、きっちり服を着こんで出てくると、意外な光景があった。
散らばっていた服を全て拾って身に付けたウェッソンが、悲愴な顔をして立っていたのだ。
肩にはすでにバッグをかけて、そわそわと出ていきたい様子が満載だ。
好都合なはずなのだが、鳥肌でも立てていそうなその様子にディーンはムッとした。
なんだその態度は。
「だって、夢の中で君と僕は兄弟だったんだよ!」
イカレ筋肉男が悲痛な顔で訴えるのをディーンは冷たい顔で聞いた。
「僕はあんたにそれこそオムツも替えてもらって育った」
「・・・そんな所まで夢で見たわけかい」
だとしたらこいつはマニアックを越えて変質者に決定だ。
「まさか。夢の中で君がしょっちゅう言うんだよ。俺はお前のオムツを替えてやったんだって」
「へえ」
「とにかくごめん。君のことは好きだけど、兄貴かもしれない人と寝るなんて、昨日の僕はどうかしてた」
「・・・勝手に人を兄弟にしないでくれないか」
「昨日僕が言ったことは忘れて。僕もそうする」
聞いちゃいない。
「それじゃ」
そそくさとウェッソンが出ていこうとする。
実に望ましい結果のはずなのだが、無言で追い越し、ドアを押さえる。
意外そうに見開く目。馬鹿め。
出て行くのはいいが、自分の方がお引取り願うのだ。
言っては何だがディーン・スミスは、女性はともかく、男から振られたことはないのだ。
上から上目遣いのような器用な視線を送ってくる相手をにらみつけ、ディーンは口を開いた。
唐突に終わるよ
というですね、まあ、アレですよ。
よくある男女の風景からSW妄想したわけです。ははははは。
そしてここでスンナリ帰さなかったから、そのうちなし崩しにくっつくんだなーきっと。
今日も絶賛意味不明メモでございました・・・
誰か私にいやと言うほどスミス&ウェッソンを読ませてくださらんか・・・・・
[20回]
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