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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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夫婦人災(SD夫婦呪21)

倉庫の拍手小話にしようと思っていたのですが、なんかダラダラ長くなったのでこちらに載せてしまいます。拍手用書かなくちゃ~
21と言いつつ、別にこの順番でなくても良いような話です。うん。拍手用だし。



天災は、忘れた頃にやってくる。
人災も、忘れた頃にやってくる。

ディーン・ウィンチェスターはソファーの上でクッションを抱え、大切な弟の形をした人災と向かい合っていた。

「・・・・・・・・」
「ほんとにびっくりしたんだよ。何となく役所に確認してみたら、僕とディーンの婚姻登録が消えてて、出生の登録が兄弟みたいなことになってて」
「・・・・・・・・・・・・・・」
最近またつい冷たくしすぎたのがいけなかったのだろうか。夫モードのサムは、2人の絆を確認したくなったらしい。
本物の役所で調べれば、もちろん本物の身分証明しかないだろう。そりゃーもちろん兄弟だ。

「・・・それで」
なんだか手のひらに嫌な汗をかいてきた。

と、サムはちょっとまじめな顔で向かい合ったディーンの手を取り、両手で包み込む。
「今更こんなこと言って笑わないで欲しいんだけど」
「・・・なんだよ」
「ディーンは外でベタベタしたり、2人のことを他人に知られるのは嫌でも、僕のパートナーであること自体は否定しないよね?」
「・・おう」
色々、本当に色々注釈をつけたいのだが、ボロが出ないように短く答えた。

手が震えそうになるのを必死に堪える。クッション返せ。手を離せ。

「よかった。ごめん、変なこと訊いて」
テレパシーが通じたわけじゃ全然無さそうだが、サムはにっこり笑ってディーンの手を離し、鞄から何か封筒を取り出した。
「ほらこれ、作ってきた」
「何だよ」
薄々、というかモロに見当がつくが見るのが怖い。
「婚姻証明書」

ぎゃーーーーーーーーーーーーーーー!やっぱり!!

「出生の登録に侵入して変更するのはやっぱりリスクが高いから諦めたんだ」
「やめとけよ。ただでさえ犯罪歴色々ついてんだから」
正直見たくないが、見ないと収まらない流れなのでちらりと見る。
「過去のデータに侵入するのもやっぱりまずいかと思って、今日の届け出に紛れ込ませた」

日付が変わっちゃってごめんね、とすまなそうに微笑む。
「いや・・・」
今日、2人の婚姻届けを提出してきたと、このでっかい弟は言っている。

ダッド!マム! ごめんーーーーー!!
天国にいるであろう両親に謝らずにいられない。そしてこの数日ちょっと夫に冷たかった自分をボコボコに脳内で殴る。
弟に戻った時、この記憶は一体全体どういうふうにつじつまを合わせるんだろう。すっかり忘れてるんだろうか。

書類を開いたまま脳内グルグルで固まったディーンの肩を、隣に移ってきたサムがそっと抱く。
「やっぱりショックだった?」
ショックなんか無い、と言ってもさすがに信憑性がないだろう。ディーンは自分の顔が強張りきっている自覚がある。毛も逆立ってる。瞳孔も開いてるんじゃないだろうか。
「・・いや、まあ足がつくようなコトしなかったならいいさ」
何とか平静な声を絞り出す。サムが眉を下げてへにょ、と絵に描いたような情けない顔をして、もう一度「ごめんね」と謝った。その顔に今度はディーンの兄本能(?)が刺激される。


やっちまったもんは仕方ない。
登録の抹消や離婚(!)の登録をしようとすればそれにもリスクと手間がかかる。
そして、いい加減どうにかしないと、今度はしょげた「夫」がまた勘違いして「式をもう一回やろう」とか、「記念写真を撮ろう」とか、さらにエスカレートしたことを言い出しかねない。


笑え。笑うんだディーン・ウィンチェスター。
弟の数々の暴虐に耐え忍んできた、お兄様の根性を見せてやれ。

何となく情けないセリフで自らを鼓舞しつつ、ディーンは「しょうがねえな」と隣を見て気合でニヤリと笑い、肩を抱く手をポンポンと軽く叩いた。
「怒ってない?」
「ねえよ」
怒るとしたら自分にだ。注意一秒怪我一生。
なんかちょっと前にもこんなことを考えてた気がする。

そう、一瞬の油断が命取り。兔はちゃんと構ってやらないと寂しくて死ぬというし、「夫」は構ってやらないと恐ろしい方向に暴走する生き物なのだ。
「俺はお前と違って記念日とかどーでもいいからな」
なので、本気で言えそうなセリフで慰めてやる。効果はあって、サムは捨てられた子犬のような顔から一転して「よかった」と微笑んだ。
ディーンはほっとしつつ、さあ来るぞ、と身構える。
サムと言う生き物は、決してホッとしたところで終わらないことを、兄は経験から学んでいるのだ。


「そしたらさ、改めて今日が記念日ってことで食事でも行かない?」

思ったよりは無難な望みが来た。

「・・・花火やらのイベント無しなら行ってもいいぞ」
それでもちゃんと釘を刺しておかないと、テーブルの周りで「結婚おめでとう」の歌なんぞやられた日には、耐え切れずに周囲を手当たり次第に殴るかもしない。

「わかってるよ。約束だからね」
サムは軽くディーンの額にキスを落として微笑んだ。
「人前でディーンの嫌がるようなことはしないよ」
不安そうな様子は無くなり、いつもの穏やかな顔で笑う。
なのでディーンは油断した。色々身構えてはいても、ディーンはどうも「夫」状態のサムの良識や常識を、つい信じてしまうのだ。


食事自体は問題なかった。
美味い店で好きなものを食べ、程よく飲んで満腹して店を出た。
そこからだ。
停めてあったインパラに乗り込もうとすると、助手席に真っ赤な薔薇の花束がいつの間にか置いてある。
反射的に周囲を見回すが、幸か不幸か人影はない。つまり人前ではない。
黙って運転席に乗り込むと、助手席からサムがそっとそれを差し出してきた。
「改めて、結婚してくれてありがとう」
「・・・おう」
受け取る以外にどうすりゃいーのか。波風立てずに受け取らずにすむ方法を今悪魔が囁いたら、うっかり乗ってしまうかもしれない。
「あとこれ」
さらにサムが小さな布袋を取り出してきて、さらに嫌な予感に襲われる。
「前のが無くなっちゃったからさ」


まさかお前。またお兄ちゃんに無断でムダ遣いを。

心の冷や汗を流すお兄ちゃんの心を知らぬ弟は、はにかみながら袋から鈍く光る物を取り出す。
やっぱり指輪だ。
いや、この流れでコインやキーホルダーが出て来る方が変なんだけど!
だけどお前な、ほんとーーーーーーにコレ、いくらで買ったか知らないけどな、売ると二束三文以下なんだぞ!上着の一つもろくに買えないんだぞ。
最近ちょっとカードの負けがこんで懐具合が寂しいっていうのにーーー!


脳内絶叫はもちろん弟にキャッチされず、サムは固まっているディーンの手を素早く引き寄せ、
「今日だけつけて。明日からは外していいから」
と囁きながら指にはめる。
なんというのか、心情的にコレで拘束を感じる自分はおかしい。
ディーンは自分につっこみながら、右手をサムに突き出した。ここまで来たらやることは一つだ。
「よこせ」
サムがちょっと目を見開き、それから笑って自分の指にはめようとしていた指輪をディーンに渡す。
ディーンは黙ってそれをサムの指に素早くはめた。
「婚姻成立」
サムが笑う。
「アホ。届け出済みだろうが」
ディーンは突っ込むが、薔薇の花を抱えながらなので我ながら締まらない。
「おい。運転できねえからコレ後に置くぞ」
わざわざ断るところがなんなのだが、冷たくすると暴走するんだから仕方が無いのだ。
「うん、かして」
サムがディーンの手から花束を取り、それから不意にもう片方の手でディーンの首を引き寄せる。
「おい・・・」
まさかこれは、という思いと、ああお前こういうの好きそうだよなあ・・・という思いが瞬時に交差する。
ちょうど花束の影に隠れるように、久しぶりに互いの唇に触れた。


「・・・おい」
今度のおいは、さっきとは意味合いが違う。
「ごめん。でもほら、新婚だしさ」
睨みつけるがサムは動じた様子が無い。人がいないのでサム的には約束範囲内ということなのだろう。
「もう帰るぞ」
「そうだね」
こうなったらさっさと人のいる所に行くに限る。ディーンはグルグル思考にけりをつけ、さっさとエンジンをかけた。

 


その後、めでたくサムは弟に戻ったのだが、
「なんでこんなに金が減ってんだよ!?」
と怒られた兄貴はさすがに腹に据えかねて
「俺じゃねーよ!!!」
と叫んだのだったそうな。

 

おしまい


そしてもちろん弟には一向に信用されず、「兄貴の他に誰が使うんだよ!」とプンスカされるんだな。
そのくせ指輪は「ああ、買ったよね」とかけろりと右手とかにしてるんだよサミー・・
サミは指輪がすきなんだな。そして薔薇を贈るのも好きなんだなあ・・

 

 

 

 


 

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