夫と思い込んでるサムと一線を越えてしまったディーン。
いざ越えるとサムは晩生どころかちょーーーーしつこい男で、ディーンは最近万年寝不足状態。
今日もしつこいサムをやっと押しのけて、バスルームに向かう。
が、いきなりよろけた。
腰も足もガタガタだ。サムの呪がとけて、また晩生ボーイに戻っても、もう発育の心配はするまい。
「運ぼうか?」
背後から心配そうな声がするのを
「うるせえ」
と切り捨てる。
ヨロヨロと震える足で、必死に踏ん張りながらふと(生まれたての小鹿か俺あ)と自虐的なつっこみをしつつ、なんとかバスルームにたどり着く。湯船にはサムがお湯を張ってくれている。
なにかアロマの香りもして、ディーンは浴槽に浸かってやっと一息つく。
無理な姿勢を強いられてギシギシ言うあちこちや、あらぬところの痛みも、ちょっと楽になった気がして目を閉じる。
あーーーーーーー、疲れた。しかも今日も呪が解ける気配がない。
でも他にどうしたらいいかわからない。
ほのかに湯が色づくバスオイルは、ディーンが気に入っている香りだった。
最近サムはディーンの嗜好に敏感だ。
ディーンが事後必ず風呂に入りたがるせいか、このところリラックス系のオイルやソルトがどんどん増えている。
俺の疲れに気を使うなら、さっさと正気になりゃいいのに。
ぶつぶつ思っているうちに湯船で眠りかけていたらしい。顔ががくっと倒れて一瞬湯に浸かる。
(やべえ)
と思って体制を直すが、またがくっと、2,3回繰り返す。
それならと思って湯船のヘリに頭を預けて仰向けに近い形になるが、また本気で寝てしまったらしくずるずると湯船に沈みかける。
まずい。どうも自覚する以上にサムの相手と睡眠不足で消耗しているらしい。
そろそろあがらねえとまずいな。
そう、思うがだるくて眠くて身体が動かない。
「ディーン、大丈夫?起きてる?」
その時、バスルームの外からサムの声がした。
起きてるぞ。猛烈に眠いだけだ。
思うが返事をするのも面倒くさくてほっといた。
するとサムは2、3回、同じことを聞いた後に、失礼なことに
「ディーン!?」
でかい声で叫んだ挙句バスルームに侵入してくる。
入ってくんじゃねえよ。眠いとも言ってないのに。
さっきまで泣いても喚いても獣みたいな目でやりたいようにやりまくり、全然ディーンの言うことに耳を貸さなかったサムが、えらく焦った顔をしている。
「顔が真っ赤だよ。もう上がった方がいい」
まゆを下げて、心配そうに言う顔に、ぼんやりした頭で逆らいたくなった。
「やだ・・・まだいる」
さっきも今も、サムは穏やかにディーンを思うように動かそうとする。そうは行くか。このコントロールフリークめ。
「だめだよディーン。今日はもうバスタイムは終わり。ね?」
サムは言いながらディーンの額に手をあてる。珍しくサムの手をひんやりと感じて、ディーンは気持ちよさに息を吐いた。離れようとするそれを追いかけて、思わず頬を擦り付ける。
「ディーン?ほら立って」
困惑したようなサムの声が心地いい。そうだ。お前だってちょっとは困れ。
「・・・行くから抱いてけ」
そう言ったのは深い意味は無い。サムの手がひんやりして気持ちよかっただけだ。
ついでに両手を伸ばして目を見開く首にまわす。
一瞬、目を見開いたサムは、だが次の瞬間嬉しげに笑み崩れた。
「仰せのままに。姫」
そして、強い力で引っ張られたかと思うと浮遊感があり、乾いたタオルが全身を包むのを感じた。そして気がついたらベッドの上だ。
はい、と着替えを手渡されて朦朧としながらシャツとボクサーを身につける。
穏やかな顔で隣で見守っているサムをじろりと見て、少し躊躇ってから口を開いた。
「冗談で言っただけだ。本気で運ぶんじゃねえよ」
サムはそれに対してにっこり笑い、
「馬鹿だね。照れないでもっと言えばいいんだよ」
としゃあしゃあと言い放った。
ダッド。サムは、こんな奴だったんだよ。知らなかったよ俺。
脱力のままベッドに倒れると、サムがシーツをかけてくる。眠りに落ちる寸前、となりに転がるでかい男に大事な点をもう一つ抗議した。
「姫呼ばわりすんじゃねえ」
暗くなる視界の中で、サムが目を細めて笑ったのが微かに見える。
そしてその口が動くのが見えたが、何と答えたのかは聞こえなかった。
おしまい
あれ?またなんかネタで始まり最後が文章チックに。
ま。いーや。某師匠との夫サム絶頂期ピンクつき甘甘バージョンでした。兄貴、屈辱の「姫」呼ばわり。
弟の暴言を許しちゃいかんぞ兄!
もいっこ書こうと思ったのに睡魔に負けたのでまた明日にしますー
[27回]