16の後はきっとこんな感じでしょう
・・・そして年度末の自分を鼓舞すべくS6のスペシャルっぽい148Pの雑誌を2千円以上出して買ってみたら、前に買ったSPNマガジンの総集編らしいことが判明した10分前でございます。
・・・ま、負けないわ。
沈黙が部屋を支配していた。
「・・・なんか言えよ」
「うん」
ぎゅうぎゅう
「・・・おい」
「うん」
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう
ボビー宅の客間で、スキンシップを解禁された「夫」は、訳もなく禁止し・解禁したディーンに文句を言うわけでもなく、さっきから飽きもせず窒息寸前の抱擁を続けている。
もういーんだ。サムが妙なタイミングに正気に返って気に病むよりも、予測の付くタイミングでぶり返す方がきっとサムの被害は少ないんだ。
「適正な距離を置く作戦」と「おねーちゃんと遊んで欲求発散作戦」が不首尾に終わったディーンは、なんとも複雑な心境でその背に腕を回していた。腕が緩んだ隙に急いで呼吸する。さっきからなんだか酸欠気味だ。
久しぶりに密着する体温がやっぱり心地良くて嫌になる。そして一向に離さない腕に色々めんどくさくなって、目の前のごつい身体に頭を預けた。途端に締め付ける圧力が4割方減って、何となく笑ってしまった。
すると今度は急に密着した身体が大きくため息をついたのが分かる。
「・・・なんだよ」
視界をごつい首筋に占められながら訊くと、ちょっと身体が離れ、視線が合う。
途端にすかすかすると思うのは単純に温度の問題だ。
「ディーンが何かすごく考えてやってることは分かるんだけど、色々と謎だよね」
困ったように微笑む顔はほんの20センチの距離にあるのに、遠すぎて不満を感じるのは俺の脳みそが今日はもう疲れてるからに違いない。
「悪かったな」
お兄様は苦労が多いんだよ。呪いの影響とか、夫の傾向と対策とか、弟の先々の心配とか。
「いいよ。ここしばらくしんどかったけど、その分物凄く今可愛いし」
聞き捨てならないことを言うサムに、抗議しようとしたら、また腕が万力レベルに戻った。
最終ラインは死守。最終ラインは死守だ。
なんだか力は抜けるし自分でもよくわからなくなってきたが、とにかく頭で繰り返す。
スキンシップは嫌じゃないのがとにかく諸悪の根源なんだ!
「・・・・なんか疲れた」
と、翌朝ふとボビーに愚痴ったら、
「1時間以上ひっついてりゃ、そりゃ疲れるだろうよ」
とコーヒーを入れながらあっさり言われてディーンは慄いた。
そしてその後、スキンシップ時は窓から離れるようにディーンは「夫」に注文を付け、また笑われることになる。
そんだけそんだけ
[28回]
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