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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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幼馴染祭りだよー!!!

neotenyの咬さまに誘っていただいた幼馴染設定SD
「悪魔の居ない世界を前提としたAU作品、二人は兄弟じゃなく幼なじみ」


ディーン・ウィンチェスター:26歳 整備士  父ジョンと二人暮らし
サム・キャンベル:22歳 弁護士を目指す大学3年生 母メアリと二人暮らし

ごくフツーの二人はごくフツーに育った幼馴染です。


・・・・主催サイト様の激烈萌えな核弾頭に比べてはいけまへんよ皆様!!
お祭りは参加することに意義があるのです・・・きっと。たぶん。
いいの。枯れ木も山の賑わいなのだから・・・・・(握りこぶし)

でも楽しかったな幼馴染。悪魔も契約も復讐も血縁関係もないんだもん。
幸せになれよこんちくしょーーーー!(←始まる前に叫ぶな自分)



ブラインドから差し込む白い光を痛く感じて、サムは寝不足で乾いた目を細める。
研究会のための準備は予定より随分と手間取り、結局でチーム全員で徹夜作業になってしまった。
「やれやれ終わった」
「じゃあ、週明けにな」
チームのメンバーも目を擦り、あくびをしながら解散して行く。

「コーヒー飲むか?」
「いいね」
ほぼ一晩中セットされていたため、だいぶ煮つまったコーヒーポットを持ち上げる友人に、サムは頷いた。
すでに香ばしいというより焦げ臭い匂いのする液体だが、この2日ほとんど寝ていない身としては濃縮カフェイン大歓迎だ。

「俺のうちで寝て行く?」
大学の近所にフラットのある友人に誘われる。たぶん、1,2時間だけでも寝たら随分とすっきりするだろう。一瞬ひどく誘惑に駆られるが、サムは首を振った。
「いや、いいよ。何とか帰れそうだし」

手を振ってナップザックを背負うと部屋を出る。あくびをしながら校舎の階段を下りると足を早め、バイクを停めた駐車場を大股に走り抜けた。

大学の敷地を抜けたすぐ側の路肩に、クラシックな黒い車体を見つけて、サムはくすぐったそうな笑みを浮かべる。

ノックするように窓を叩くと、運転席で寝ていた男が目を開けた。軽く伸びをしてからロックを解く。
サムは助手席のドアを開けて乗り込んだ。

「ごめん」
「おお」
短く返事をした男はちらりとサムに目をやると、小さくあくびをしてキーを回した。



ディーン・ウィンチェスターはサムの隣人だ。サムがまだ覚えていないような小さい頃に、父親のジョンと一緒に越してきたのだと言う。
4歳年上の彼は、だからいわば幼馴染だ。


「やっぱりまだかかりそう。でも朝までには片付くから、午前中には帰れると思うんだ」
『睡眠不足でバイク乗る気か?やめとけよ』
「でも早く帰りたいし」
『・・・迎えに行ってやろうか?』
「え・・?いいの」
『休日の朝に起きられたらな』

そんな通話をしたのは9時間ほど前の屋上だ。

「わざわざごめん」
言うと、振り向かないまま横顔がニヤッと笑う。
「寝てろよ。着いたら起こしてやるから」
そして手が伸びてきて軽く髪の毛をかき回された。
兄弟のいない一人っ子のくせに、ディーンは妙に面倒見が良い(無論相手によるが)。
しかしこういった子供に対するような扱いがサムは大嫌いで、昔から何かしらディーンが構うたびに、よく噛み付いてきた。

だが今は事情が違う。
「うん」
素直に好意に頷けるのは、最近踏み出した新たな関係のせいだ。
髪の毛を撫でる手を捕らえて、軽く指に口付ける。
「おい」
運転席から横目で睨まれるのに笑い返すと、ディーンはそれ以上何も言わずに手を取り返した。


夜が明けてすぐの道路は空いていて、車はほとんど止まらずに滑らかに走っている。
エンジンの音だけが響く静かな車内で、サムはごく自然に眠気に襲われ、でも眠ってしまうのが惜しくて必死に目をこじ開けた。
「・・・なにこれ」
シートに放り出された本を取り上げる。
パラパラとめくるとエンジンやらオートマチックトランスミッションやらという単語から、仕事関係のものだと言うことだけはわかるが、正直サムはその方面に弱かった。
「試験でも受けるの?」
「・・・寝てないんじゃなかったのか、お前」
話しかけるとそっけない返事が返るが気にしない。
音楽をかけない車内や、普段より一段低く静かにく話す声自体が、サムを気遣っているのが分かるからだ。
「うん・・そうなんだけどね」
「寝てろっての」



サムが母と住む家と、ディーンの家は道を挟んだ向かいだ。
ディーンは街の整備工場で働いているし、サムは大学がたまたまバイクで通える範囲だった。1年目は大学の規則で寮生活をしていたが、2年目以降は実家から通っている。
ディーンも父親と住んでいるが、仕事で不在がちで、サムから見ると「不在が多い」と言うよりも「時々は家にいる」という印象が強い。

自宅に近づいて気がつく。
その滅多に家にいないディーンの父親の車が、
家の前に黒々と停まっている。


「・・・ディーンのお父さん帰ってるんだ」
「ああ、昨日の夜な」
思わず声が尖ってしまったのに、ディーンは気づいただろうか。

「じゃあ、今日の予定はキャンセル?」

子どもの頃から、ディーンの父のたまの帰宅があるとその日にどんな約束があろうとも反古になるのが通例だった。
いつも大人びた顔をして斜めに構えたようなディーンが、「ダッド!」とまっすぐに飛びついていく姿は、喜んであげなくてはいけないと思いつつ、いつもサムの心にさざなみを立てた。


今日は一緒に映画を見に行って、そのあと外で食事をする予定だったのに。いかにもディーンの好きそうなステーキハウスを見つけていたのに。
席のリザーブでもしていれば粘りようもあるが、あいにく家で仮眠をして、目が覚めてから出かけるつもりだったので何もしていない。
もしかして、その穴埋めとして迎えに来てくれたのだろうか。先ほどまでのふわふわと幸せな気分が一気にしぼむ。
だが、
「別に無しにしなくていいだろ。親父にも夜は出かけるって言ってあるし」
「ほんと!?」
確かに子供の頃ならともかく、大人になってからはディーンが自分の予定を優先することも増えた。
だがサムが見ていた限り、優先枠に入るのはいわゆる「デート」であって、それ以外の時はディーンは飲みにも行かず何のかのと言いつつ家にいたように思う。
いつでも会える向かいの子との約束、などは不利の極みだったのだ。自然と顔が緩んでしまう。
「なんだよ。にやけた顔して」
「嬉しいからさ。ディーンがちゃんとデートだと認識してくれてるから」
「ばかか」
けっと吐き捨てるような口調だが、耳が赤い。
ディーンがどうも気がついていないらしいその体質は、年上の想い人のふざけた口調やポーカーフェイスに振り回されがちなサムにとって貴重なヒントだった。

「ほら、着いたぞサミー坊や。結局ずっと起きてんじゃないかお前」
サムの家の前に車を停めて、ディーンは呆れたように言った。
「まあほら・・・惜しかったからさ」
「何が」
「ディーンと二人きりの時間に寝ちゃうのが」
「・・・ばかじゃねえのか。夜まで爆睡しても知らねえぞ」
「う」
さすがにサムが詰まるとディーンは勝ち誇ったようにフフンと笑った。
「ほら、降りろって」
ハンドルに持たれて笑う顔。朝の光で短く切った髪の毛が金色に透ける。
「・・・キスしていい?」
と聞くと、
「おやすみか?おはようか?」
とわざとらしく眉を上げて返された。色々ひっかかるが少なくとも拒否ではないので運転席に身を乗り出し、唇の端にちゅ、と軽い音をたてて口付ける。
「おい」
と眉をしかめる幼馴染に、
「ありがとう。あとでね」
と言ってにっこり笑いかけ、助手席のドアを開けた。





ディーンが自宅に入ると、父が冷蔵庫の前でなにやら困惑しているようだった。
「親父、どうしたんだ」
声をかけると振り返る。
「ディーンか・・・・これはなんだ?」
手元を見るとソイミルクのパックだ。
「あー、・・・とりあえずパッケージの通りだから」
「お前、最近こういう物を飲むのか?」
「たまにな」
正しくはサムが来たときに半強制的に飲まされる、だが。
「あ、それは食わないでくれ親父」
ジョンが手に持っているのは何たらいう胚芽パンだ。サムがどこかで買いこんで来たもので、なんだか酸っぱい味がする上に、正直言って高い。
「・・・食っていい普通のものはあるのか?」
サム好みの自然食はいかにも父の食生活にはなさそうで、思わず苦笑する。
「後のものは何でも適当に食って大丈夫だけど」
「お前は?」
「コーヒーだけ入れるけど。飲む?」
「ああ、頼む」

コーヒーメーカーに豆をセットしておき、ディーンは一度自室に戻る。
上着を脱いで一度顔を洗いに行き、リビングに戻るとちょうどコーヒーが入ったところだった。
久しぶりに使う父親のマグに注ぎ、手渡す。


「親父、今回はどのくらい家にいるんだ?」
「わからん。2,3日は確実だが、もしかすると長くなるかもしれないな」
「そっか。珍しいな」

テレビのニュースを見ながら、その後は黙ってコーヒーを啜った。
父との時間はこんな風だ。素っ気ないがそれでいい。そこにいてくれれば十分だった。

「お前、夜は誰と出かけるんだ?」
だから父がこんなことを聞いてくるのは珍しい。
「え?サムとだけど」
「向かいの子か」
「子って歳じゃないけどな」
思わず苦笑する。サムが父と面と向かって話す機会はそうなかったから、父の中ではサムのイメージは未だに子どもの頃のままなのかもしれない。

だからディーンはカップのコーヒーを飲み終えると、さっさと立つ。
子どもの頃とは今まさに軌道を変えようとしている相手について、父親と話す準備はディーンの中にできていなかった。




サム・キャンベルは昔からこまっしゃくれた子供で、だがディーンは昔からこの年下の幼馴染がお気に入りだった。
父と一緒にあちらこちらを移動していた生活から、「今日からここが家だ」と言われた日。挨拶に行った向かいの家で、優しそうな女の人と小さな赤ん坊と会った。
初めて持つ、すぐに別れなくてもいい人達。そっと差し出した指をぎゅっと握ってきた小さな手を今でも覚えている。

高校を卒業した時に父からこれからどうしたいかを尋ねられた。
「好きな街に住んでもいいし、この家に住み続けてもいい。好きな方を選びなさい」

ディーンはすぐにこのままここに住む、と答えた。
父と同じ家とはいえほぼ一人暮らしだったし、仕事も既に決まっていたこともあったが、向かいの家の親子の存在も、多分大きかった。

10代のサムは、小さい頃ほど素直にディーンを慕って付いてくるということもなかった。小さかった背もいつの間にやらひょろひょろ伸びて、気づけば見下ろされている始末だし、あーとかうーとか可愛らしい音を発していた口は、いまや理解不能な法律用語を並べ立てるようになった。
サムは今大学の3年生だ。ディーンにはわからないが大学が終わってもさらにまた次の学校に行くらしい。
その時にはさすがにサムもあの家から離れるのだろうということは、ディーンにも薄々分かっていることだった。

可愛げをなくして突っかかって来てばかりいたサムから、思いつめたような告白とアプローチをされたのは数ヶ月前だ。
ディーンはそれまで結構な数の付き合いをしていたが、無論その中に男はいなかったし、サムについても同様だったはずだ。
だが青天の霹靂ともいえるはずの告白はディーンの中に意外なほどあっさりと落ちてきて、脳が理解する前に口が、
「いいぞ」
と動いていたのだった。

思い返すとあの速さは自分でもどうかと思う。
案の定サムも
「ちゃんと考えて答えてくれ」
と、喜ぶ以前に顔をしかめた。

だからディーンはもう一度考えた。
サムが俺のことを好きだと言う。付き合って欲しい、自分のパートナーになって欲しいのだ、と。
「・・・・・・・・・」
何度反芻して考えても『嬉しい』しか浮かんでこない。俺の脳みそはどこか壊れたのだろうか。何かつながらなきゃいけない回線がふさがってるんじゃないだろうか。

今度は結構長い時間難しい顔で沈黙していたらしく、サムにそっとゆすぶられるまでディーンは反芻を繰り返していた。
「ディーン、何考えてるの」
視線をやればどうやら勝手に悪い方に想像を働かせたらしく、サムは悲壮な顔をしていた。
「いや・・考えるって何考えればいいんだ?」
「だから、付き合うってどういうことか分かってる?」
「お前にその方面で教えてもらう必要はねえよ」
けっと笑うとサムは黙った。当たり前だ。サムもそれなりにもてるようだったが、ディーンとははっきり言って桁が違う。

「じゃあ、僕がディーンとキスしたいって言ったらできるの」
「告白してすぐがっつくってのはいただけねえなあ」
「・・・気持ち悪くないの」
なるほど、サムはそれを確認したかったのか。確かにつきあうのだったら生理的にキスもできないのでは無理だろう。
自分の脳の回線がどうもあてにならないので、ディーンはサムの疑問に答えるべく、目の前の顔にキスをしてやれるだろうかと視線を上げて考えた。
綺麗な眉の線。目尻のつりあがった瞳。見慣れたつん、と尖った鼻。少し薄く見える唇。
サムの不安を映すかのように、時々きゅっと引き結ばれるその唇が妙に可愛らしく思えて、ディーンはちょっと笑った。いや、図体はでかくなっても可愛いのだこの存在は。
「・・・・なに?」
妙に掠れた声でサムが尋ねる。返事はしていなかったが、サムが心配するところの嫌悪感など感じていないことは、見ていれば分かるだろう。
ここで何か言ったら、サムがキスをしてきそうだな、とディーンは頭の隅で思い、だが年下に先手を取らせるのは面白くないな、とも考えた。
だからちょいとその首を引き寄せ、軽いキスをしてやった。
「・・・・・・・・・!!」
瞬時に赤くなるのが最近にない素直な反応で楽しい。
「大丈夫なんじゃないか?」
真面目くさった顔で告げてやったら、ハンサムな顔をくしゃくしゃにして締め技のような力で抱きしめられた。




それ以来、頭の回線は壊れっぱなしだ。
ディーンは戻った自室でパラパラとテキストを開く。ブレーキとABSシステムについての項目を読みながら、ちらりと向かいの家を見た。
カーテンの閉まったその2階の部屋で、今頃年下の恋人は爆睡しているのだろう。
新しい関係になって以来、サムはディーンの伸ばす手に素直に甘えるようになった。はっきり言って自分は今、かなり浮かれている。
大丈夫か、と我ながら心配になるくらい。
だけどそれを止める理由も方法も思いつかないのだ。



・・・・・・・・・・・・・


「・・・帰りたくない」
「んなこと言ってもなあ・・・」

食事を終わった車の中でサムはごねていた。いつもならばこの後ディーンの家に転がり込み、ビールでも飲みながら一緒に過ごす。
しかし今日はジョンがいるために、さすがに二人ともその気にはなれなかった。
「・・・・どこかに泊まる?」
「・・・・・・」
「一緒にいたいよ」
今日の場合の『一緒にいたい』、はイコール『そろそろ次の段階に進みたい』だ。

父には悪いが、本当に微妙なタイミングで帰ってきてくれたなあ、とディーンは思う。
週末だが車の通りもそう多くない。もうすぐ分岐点の路肩に車を停める。このまま家に帰るのなら左、モーテルを探すなら右だ。
「部屋代くらい出せるよ」
「ばーか。そんなんじゃねえよ」
何となく気が乗らない理由を当てにならない脳内で検索する。
「なんか・・・やなんだよなモーテルってのが」
浮かんできた言葉をそのまま口にしてみた。どうせサムのような順序だった話し方はできない。
「ディーン?」
「お前と、モーテルでどうこうってのは、なんか嫌だ。家があるのに」
今まで付き合ってきた女の子達とは、そこまでいちいち考えていなかったようにも思う。モーテルでも自宅でも相手の家でも、それこそその時の流れや気分のままだ。
自分でもよくわからないのだから、サムも納得などしないだろうと思ったが、なぜかサムはごねるのを止めた。
「サム?」
振り返ると、不意にサムが身を乗り出してきて、柔らかくキスをされる。
こんなとこでなにすんだ、
言おうとした声は、再び重なってきた唇に遮られてディーンの口から出ることはなかった。

キスをされている間に、サムの手がエンジンを切る。
結構器用なことするな。と思っていると、助手席からさらに身体を移動させてくる。
「シート」
「え?」
「シート、倒して、ディーン」
キスの合間に囁いてくる声に、何となく従ってしまう。ロックを外すと結構な勢いで後ろに倒れこんだ。
「あでっ・・・の野郎、俺のレディーがいかれたらどうしてくれんだ・・」
「黙って」
文句を言おうとする口を、また塞がれる。外灯も遠い車内で、覆いかぶさってくる身体に、ふと押されるような気がした。
柔らかく唇に歯を立てられ、口内にその舌の侵入を許す。
キスはしている。何度も。
だけど暗い車内で、無言で交わすキスはいつもの柔らかくくすぐったいものとは違い、今更ながらディーンをゾクゾクと落ち着かない気分にさせた。


サムはクラクラしていた。
いつも何のかのふざけたことばかり言うディーンにはぐらかされ、なかなか弟を甘やかすような態度や、優しく軽いキスを交わす関係から進めない。
だけど今、暗い車内でサムからのキスを受け止めるディーンは、いつもと様子が違った。
可愛い。
ふいに浮かんだ言葉がぴったりと胸にはまる。
インパラのシートの上で息を弾ませ、目を伏せる顔に見とれる。視線を感じたのか見上げて来る翠の瞳にそっと舌を這わせた。ひゃっ、と小さく声が上がる。
「なにすんだこの・・」
「全部欲しいよ。あんたが」
赤くなりながら睨みつけてくる目尻にさらに口付ける。運転席に完全に乗り上げ、見慣れすぎているはずの身体を組み敷いた。
「いや、さすがにお前ここじゃ無理・・・」
「黙れってば」
喉元を吸い上げると くう、と小さな声をたてる。抗うでもなくサムの上着を掴む指に、全身の血が頭に上るような気がする。
頭をずらして鎖骨の辺りを舐める。かすかに舌に感じる塩っぽい汗の味と、子どもの頃から馴染んだ体臭に血が沸騰した。



まずいまずいまずいまずいぞ
ディーンはディーンでふわふわしながら焦っていた。止めないとまずい。ここは道路だ。
でもどうしよう、こんな状態の男をどう止めていいのかわからない。ぶん殴ったらサムが可哀想だけど、ぶん殴る以外、どうしたら止められるのか分からない。
殴ったらまずいと思うと、今度はどこもかしこも力が入らない。またも近づいてくる顔を止めようと、手のひらで押し返したのに、あっさりとサムの手に払われてしまった。
そしてまた貪られる。

これはもしかしてこいつ、もしかして俺を。

重大なことが起こりつつある気がするのに、ぶっ壊れた脳内回線はやっぱり役に立たない。ここじゃまずい。でもサムを殴りたくない。同じことばかりがぐるぐる回る。サムの指がシャツのボタンを外し始めた。本当にまずいんだってのに!


唐突に真っ白い光が二人を照らし出し、双方の頭に上っていた血は速やかに下がった。
弾けるようなクラクション。
轟音と共に一瞬で光は通り過ぎる。

大型トラックのドライバーにからかわれたことは数秒後に二人とも理解した。公道でコトに至りかけていたのだから文句も言えない。
照らしたドライバーも、相手がでかい男二人でさぞびっくりしたことだろう。



「・・・・・帰るぞ」
「・・・・うん」
ディーンがパシパシとサムの身体を除ける。サムも心残りはありそうだったが、大人しく助手席に戻った。


夜中は過ぎたが夜明けには程遠い。
あと30分もせず、車は家についてしまうだろう。先ほどのトラックの他は対向車もなく、また車内は静まり返った。
ディーンが手を伸ばし、カセットのスイッチを入れる。相変わらずのオールド・ロックが流れてきてサムは笑った。
「ディーンは趣味がレトロだよね」
最新のハイブリッド車やコンピューター制御の車も扱うくせに、自分が乗るのは年代物のクラシックカーだし、客の話に合わせるために様々な流行にも詳しいくせに、好んでかけるのは既に絶滅しかけたカセットテープだ。
「悪いか」
「いいけど」
全部好きだと思う。唐突に言うと怪訝な顔をされるので言わないけれど。


「大学を卒業したら、ロースクールに行こうと思ってるんだ」
「うん」
突然話し始めたサムに、ディーンは静かに応じる。
「大学はなんとか家から通える範囲だったけど、ロースクールはさすがに無理だと思う」
「・・・そっか」
「だから、学校が決まったら近くに部屋を探そうと思ってる」
「そうだな」
「・・・でも、ディーンと離れたくない」
「・・・うん」
「一緒に、いられないかな・・・」
サムの声は大きくはないが、小さくもない。
「気が早いとは思うんだけどさ。まだ1年以上先の話だし」
「仕事があればな」
付け加えたサムの声にかぶせるように、ディーンが言った。サムが口を噤む。
「お前の学校と、近い範囲に仕事が探せればいいんじゃねーのか?」
「そうだね」
どこも不況だ。ちょっと腕のいい整備工でも、どの街でもすぐ仕事があるかどうかは分からない。
「今度の整備士免許の更新の時に、上級試験にもチャレンジしてみるかとは思ってるんだけどな」
そのディーンの言葉にサムが弾かれたように顔を上げた。
迎えに来てくれた朝の車内に転がっていたテキスト。

「嬉しいよ、ディーン」
「あ?」
「いや、・・なんか、考えててくれて」
「ま、この準備が無駄に終わらないようにお前こそしっかり学校探せよ」
俺はどっちにしても受かれば給料アップの交渉も出来てハッピーだけどな!
軽い口調と裏腹に、やっぱり耳が赤い。
想いが一方通行ではないことが嬉しくて、サムは口元を緩ませた。


車が家に着くと、二人はそれぞれの親に会わないよう、そうっとドアの鍵を開ける。
顔を見られたが最後、何も言わなくてもバレバレの様子だったからだ。
首尾よく二人とも自分の部屋に帰り着き、

だが翌朝それぞれの理由で青くなった。


サムは外泊などしたことのない母が家にいないことに気づいたからであり、

ディーンは自宅の客間から出てきたメアリーに「おはよう」と優しい笑顔で挨拶をされたからだった。



ひとまず終わり



できとらんのかい!!!というお叱りの声が山の彼方の空遠くから聞こえてきそう・・・・
いやー、こんなに延々とイチャイチャしてるだけの話、皆様お疲れ様でした。すんませんまたもキス止まり。でも当社比では今までで最大級だすどすえ。だってイチャイチャが連続しすぎて疲れたモン!!(はあはあ、少し休ませて・・・ってなもんで3時間後には復活しましたが)
兄貴・・・じゃないのか。ディーンがカマ〇トのように見えますが彼は真面目です。真剣なんです。
この後「ジョンパパとメアリママがまさか?」「あの犬猿の仲なのに?」・・・になって、
「そっか」と、納得しかけるディーンにサムが
「ちょっと!?ディーンまさか賛成なの?」なんて噛み付き、そこでまたディーンが「だって兄弟になったらずっと家族だし」なんて夢を見ちゃってサムに「そんなんあの二人が離婚しなけりゃの話だろ!」なんて怒鳴られたりする展開も考えてたんですけどね。いかんいかんせっかく幼馴染なのにヨーヨーのように兄弟に戻りたがるねえこの二人は・・ふぉっふぉっふぉっ・・と思いなおしました。やれやれ。(なんと長い後いいわけだ!!)
そうそう、チビサムがパパのせいでディーンとの約束を反古にされて
「おじさん、ディーンは今日僕と魚釣りの約束をしているんです!」
「私は強制していない。ディーン、好きにしなさい」
「だから・・・っまた今度なっていってるじゃないかサム」
「酷いよディーン(べそかき)」
「・・・・・(ジョンパパ憮然)」
ってな古のジョンvsサミーは入れ損ねました。いやー、幼馴染ネタおそるべし・・・

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