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海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
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雨の後で(SD夫婦呪9.6)

やっと上がった、ふーふです。9と10の間のいちゃいちゃ新婚ライフ第2弾。
文字通り頭痛く最初から最後までいちゃいちゃしてます。甘いです(当社比)なんじゃこりゃー(自分で言うな)




ディーンが『休養』に選んだ家は、町から少しばかり離れた場所にあった。大きな道に面しているわけでもないので、用のない車が入って来ることもそうそうない。
家の周りに塩を撒こうが、鉄を埋め込もうが、変な模様を壁に書きつけていようが見咎める人もなく、まあハンターの休養には打ってつけの環境ではあった。

 

明るい午後、ディーンがリビングで新聞をパラパラ見ていると、携帯電話が鳴った。
表示を見るとサムだ。

さっきぶらりと出て行ったサムが急に正気になったりしてないかな、と思いながら電話をとるが、もちろんそんなことはない。


『ちょっと出て来ない?散歩しようよ』
「散歩?」
『そう、散歩。今ちょっとぶらぶらしてみたら、雨上がりできれいだよ』
「そういや、すっかり晴れてんな」
窓から外を見ると、朝から霧のように降り続いていた雨はやみ、すっきりとした青空が見えた。


「今出る。どこだ?」
読んでいた新聞を適当にたたんでその辺に放る。目に付く事件はないし、どうせ今は休業中だ。
『裏の林だよ』

 

家の横の道を抜けて裏にまわると、木々を見上げていたサムが振り返る。
ディーンの姿を見ると、にっこり笑った。
「おいで」
言いながら手を差し出してくる。

(おいで、じゃねえよ)
呪いが解けない弟は、お兄様が展開する「解呪キャンペーン」の間に付け上がり、なんだか口の利き方がおかしくなってきた。
「おいで」「ばかだな」「かわいい」は特に頻発する上位3つだ。
(呪いが解けた後で言いやがったらただじゃおかねえ)
思いつつ、伸ばしてきた手に大人しく引き寄せられてやる。なにせ解呪のためのキャンペーンは『サムの満足第一主義』で続行中だ。
断じてそのやたらと幸せそうな笑顔にほだされたわけではない。

 

サムは道を外れた林の中にディーンを引っ張っていく。木々の下は意外に濡れていなくて落ちた葉を踏みながら歩くとカサカサと音がした。不意にサムが腰に回した手に力を入れ、ディーンを引きとめた。
「な」
なんだ?と言いかけたがそっと寄せられてきた唇に口を噤んだ。
そのまま引き寄せる腕にに逆らわず、ディーンは軽く首を上向けてやる。全てはお客ならぬサムの満足のためだ。殴らない。怒鳴らない。
「・・・なんだよ」
しかしながら、こんな場で言うセリフなど思いつかないので、啄むような唇が離れればやっぱり色気もそっけもない言葉が出てしまう。
サムは気にした様子もなく、機嫌がよさそうだ。
「木漏れ日が透けて、きれいだよね」
にっこり笑ってディーンを見つめる。
「あー・・、そうだな」
確かに、林の樹の間から陽の光が零れ落ち、景色にもサムの姿にも明るいコントラストをつけている。


「狩りの調査でもなくこんな風に散歩してさ。ディーンが傍にいてくれて、風が気持ちよくて---」
すごく、幸せだ。
ディーンの髪に口付けながら、サムが小さな声で言う。
その、つんと上を向いた鼻の感触。触れた部分からサムが笑っているのがわかる。
「恥ずかしい奴だな・・・」
痒い空気に耐え切れずに茶々を入れてしまったが、サムの穏やかな空気は変わらない。
ダメだ。ここで俺も幸せだーとか言えたらいいのかもしれないが、それはあまりにも難易度が高い。頭を叩いてやりたいのをこらえるだけで精一杯だ。


「うん、自分でもかなり恥ずかしいこと言ってると思うよ」
動じないサムはディーンを軽く抱きしめたままクスクス笑う。
「でもさ」
抱きしめる腕に力が入った。
「いずれこの休暇は終わる。だろ?」
「・・・まあな」
「こんな風に狩りのことも他の人のことも考えないで一緒に過ごせる時間が、いつまた持てるかわからないよね」
「・・・・・」
確かに。というか二度とない。少なくとも夫婦なんて設定では。
「だから、この際したいことしようと思って」

・・・・・・・・・・・・・兄ちゃんはお前の脳内にどんなドリームがあるのか急に物凄く心配になってきたぞ。
だがしかし、取り繕いがちな弟が、希望を顕わにしだしたのはチャンスだ。


「で、したいことってなんだ」
頑張れ俺。呪いを解くまで(きっと)あと一歩だ俺。
「だから今、してる」
ちょっと身体を離して、サムが笑う。

「きれいだな、と思う景色を一緒に見るとか。手をつないで外を歩くとかさ」
「なるほどな」
思わずディーンも笑う。こっ恥ずかしいがサムらしいといえばサムらしい希望だ。


笑っていると、頬に手が添えられる。お?と思っているうちにまた柔らかいキスが顔中に落とされた。
「陽の光の中でキスしたり・・・愛し合ったり」
「え」
「だめ?」
耳元で囁かれる声に熱がこもっている。
ティーンのような話から、いきなり成人指定の領域の話に希望が飛んで、ディーンは固まった。


「サムの満足」か「・・・・・」か?
恐ろしいことに対抗馬が見つからない。
「・・・・」を埋めるものをディーンが必死に探している間に、サムの手がそっとディーンの身体を近くにある樹にもたれさせる。
大きな手がディーンの頭を優しく、だが断固とした力で上向かせ、長い指が唇から顎、首筋、鎖骨へと動いていく。

ちょっと本気で始まりそうな気配を感じて正面から顔を見てみれば、
(やべえ・・・・)
まじめにサムの目つきは夜モードだ。


「ちょ、ちょ、ちょっと待て、サム」
目尻に、頬に、耳元に落とされるキスはなんだか抗いがたい。
そして気がつけばサムの片手がディーンのシャツのボタンに沿って、緩やかに上下に動いている。
今日、Tシャツじゃなくボタンの多いシャツを着ていて本当に良かった。偉いぞ俺。
ディーンは心から今日の服を選んだ自分を褒めた。出来ればあと3枚くらい重ね着してたらなお良かったが。
「嫌?・・ディーン」
いつの間にやらすっかり抱き込まれて、サムは熱い息を囁きと共に耳に吹き込んでくる。
「だっ・・・お前、散歩するって・・・」
対抗馬が見つからないおかげで、口をつくのはアホのような言葉だ。
やりたい気分の男はどこでもいつでも即発火。それは分かってる。今は兄の面子も羞恥心も鉄の意志で放棄の覚悟はしてる。だがしかし、それでも流されるとまずい気がするのは・・・


「ぼ・・・、防御がない!」
ディーンが叫んだとき、サムの手はディーンのシャツをジーンズの裾から引っ張り出し終わり、いまや正に侵入を始めんとしているところだった。
「なに?」
サムが唇を離し、ディーンの目を覗き込んでくる。
『ここで止めるのか』とデカデカと書いてあるが、知ったことか。


「ここには俺は何の防御もしてないし、ろくな武器も持ってきてない」
そんなとこでやるのは嫌だ。
すっかり臨戦態勢の弟相手に恥も外聞もない。

この期間について、ディーンは悪魔やら天使やらに晒し者の笑いものになるのは覚悟している。実際の気配は幸いまだ感じたことはないが。
それでも万が一でも実の弟と野外でコトに及んでいる間に襲われて死亡なんてことになったら、ハンターの最期として余りにも間抜けすぎる。


「だからここでは嫌だ」
必死で訴える。
単なる野郎なら右フックに左アッパーに急所蹴りで一件落着だが、相手はかわいい弟の上に、今は満足させることが至上命題だ。なんとか不満少なめに思いとどまってほしい。
please、と口が勝手に動く。なんだっていい。止まってくれれば。


「わかった」
獣じみた目をしたサムが、最初なにを言ったのか分からなかった。
その目に映る自分が、随分と情けない顔をしているのに気を取られていたディーンは、一拍置いてから、自分がいつの間にやら下草の上に横たえられていることに気づく。
「ごめん。びっくりしたよね」
覆いかぶさっているサムの手が、ディーンの髪をなでる。その目が痛みを堪えるように細められるのを見て、ディーンは焦る。
いや、別に若い男が盛るのなんて当たり前だからびっくりなんかしやしないけど。むしろ地面に転がされたことに気づいてなかった自分にびっくりだ。
・・・今、もしかして、ものすごいサムの満足チャンスを潰したのだろうか。


ディーンがグルグルしはじめていると、サムがひょい、と脇に手を入れてディーンを立たせる。軽く服や髪を払われるのは、草でもついてるのか。
サムがもう一度身をかがめてジャケットを拾う姿を見て初めて、それが自分の下に敷かれていたことに気づいた。道理で濡れなかったわけだ。それにしても、
「上着敷くとか、気色わりいぞサム」
思わず正直に口が動いてしまう。サムがむっと口を尖らせた。
「いいだろ、別に。一度やってみたかったんだし」
言いながらジャケットを羽織りなおそうとしたサムは、内側を地面に向けていたのでその濡れ具合に着るのを諦め、脇に抱える。

もう一度手をつないでくるので、へいへいと握り返してやった。


林を通り抜けると、少し開けた所に野草の群生地があり、色とりどりの小さな花が咲いている。
「お、いい場所じゃねえか」
「だろ?」
なるほど、サムが呼んだのはここを見せようとしたのか。そういえばサムは小さい頃からこういう空間が好きだった。
『ちょっと来て、ディーン』秘密の場所を教えるようにディーンを引っぱった小さな手を覚えている。


「うわ、しまった・・!」
思い出に浸りかけていたディーンは、すっかりでかくなり、ついでに今は呪われて、多分昔のことは忘れている弟の声で現実に意識を戻した。
「なんだよ?」
横を見ると、サムは空を見上げながら眉と口を下げ、絵に描いたような『がっかり』な顔をしている。
「虹が出てたんだよ」
「へえ」
「ディーンに見せようと思ったのに・・・」
「あんな所でサカるからじゃねーか」
またつい反射的に口が動いてしまう。もしかすると俺はこれでサムの満足度をちょいちょい下げているのかもしれない。ディーンは少しだけ自分を反省した。
だが。
「確かにね、・・・でも良かった」
穏やかで明るいサムの声がして、もう一度目を向けると、どこかほっとしたような顔でサムが微笑んでいた。
「良かったってなにが」
「少し、不安だったんだよ。ディーンこの頃、僕がしたいこと全部受け入れようとしてるだろ。嫌なことでも何でも」
「・・・」
そりゃーお前、確かにその通りなので何ともいえない。
「・・・だから良かった。ディーンが嫌な時は嫌だって言ってくれて」
「・・・」
その時ディーンの頭に浮かんだのは、思いやりある弟には悪いが『めんどくせえ奴だなあ』という思いだった。
兄を思いやる心は結構だが、発揮するのは呪いを解いてからにしてほしい。


「でね、ディーン。今夜ちょっとロマンチックな雰囲気の店で食事したいんだけど、どう思う?」
呆れた顔のディーンをものともせず、サムはいたずらっぽい顔で提案してきた。
「・・・程度によるな」
ご期待にそって正直に答える。
「キャンドルをテーブルに置いてくれるんだって」
「まあ、それくらいなら許容範囲だな」
「やった。じゃあ決まりだね。」
サムが笑う。嬉しそうに。
なんでこいつの呪いは解けないんだろう。この頃こんなによく笑うのに、あと何が不満なんだろう。
あ、と気付いてディーンはもう一つ注文をつけた。
「言っとくが菜っぱだらけの店は嫌だぞ」
するとサムは得意そうに答えた。
「大丈夫。その店の一番人気はリブステーキだって」
「いいな」
思わず口笛を吹く。
「だろ?きっと気に入るよ」
そしてまたじゃれるように降ってくるキスと抱擁に、腕を回して応えてやる。
「僕だって、ディーンを大事にしたいし、笑っていて欲しい」
「・・・すげえなサム、絶好調じゃないか」
「うるさい」
繰り出される寒いセリフにニヤニヤと突っ込みをいれてやると、サムは素直にむっとする。意地になったのか羽交い絞めにされ、「もう勘弁」とディーンが降参するまでむずがゆい囁きが連発された。


その夜、サムのリサーチ通りなかなか雰囲気のいい店で乾杯しようとした時、サムがディーンを見て口を開きかけた。
「サム。頼むからよせ」
ディーンは真剣な顔で止める。
「ディーン・・」
「黙って乾杯して早く食おう。な?」
「君の瞳に・・・」
「俺帰るぞ!」
してやったりと笑うサムを前に、ディーンは脱力する。
もしも、『これ』をクリアしないと呪いが解けないなら、俺には一生無理かもしれない。
久しぶりの肉が来るのを待ちながら、ディーンは深いため息をついた。


おしまい


いやー、ほんとに自分的には頭痛いほどいちゃいちゃでした。きっとこれはs6サムがいちゃいちゃにいかない反動ですね・・・ふーふは平和だなーつくづく(笑)

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