忍者ブログ
海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カウンター
アクセス解析
プロフィール
HN:
おくら
性別:
非公開
自己紹介:
二次元、三次元問わず楽しいもの大好き。
常に読むものが無いと苦しい活字依存症。
ブログ内検索
P R
バーコード
アクセス解析
[1176]  [1175]  [1174]  [1173]  [1172]  [1171]  [1170]  [1169]  [1167]  [1166]  [1164

シャンバラを征く者(ムパラ43ペーパー)

お久しぶりです!そしてムパラ43後コメントいただいた方々お礼が遅くなりまくってすみません!
ここ最近リアルライフがますます過酷で萌え系活動が危機です。しかもパソコンキーボードがきかずさらに危機が重複しています。

しかしレカペですし、せめてペーパーでも。m様遅くなりましたすみません!






 そいつは何だ?
 と周囲の人間に訊かれたとき、サムはディーンのことを「運転手」と言ったり「助手」と言ったりした。そのどちらも間違いではないが、「護衛」が一番近いのではないかとディーン自身は思っている。
 最初の出会いが、バーで絡まれているサムを助けたときだったからだ。二回目に会ったのは図書館で調べものをしていた時で、その後一緒に飲んで気が合ってサムの部屋で寝て、なんとなくそのまま居着いてしまっている。

「俺が言うのもなんだけど、ちょっとあんた警戒心が足りないんじゃないか?」
 ディーンがそう言うと、サムは目を丸くしたあとちょっと笑って、
「それはこっちのセリフだよ」
 と返してきた。
「何言ってんだ?俺は身一つだけど、あんたの部屋、財布や金目のものが多いだろうが」
「でもここで小銭を盗んで逃げたら、ディーンは寝る家と給料と空いた時間に車を使える立場を失くすから差し引き損だろ」
「俺はな!」
「まあ、そんなに誰彼構わず引っ張りこんでるわけじゃないから、心配しなくていいよ」
 そういってサムがまた穏やかに笑うと、ディーンは何も言えなくなる。

サムの仕事は法律関係のトラブルを解決することらしかった。「弁護士か?」と訊いたら、「違うよ」 と言われたが、詳しいことはわからない。
ディーンの仕事はサムを運転して仕事先まで送り、出てくるのを待つのが基本だ。
追加でサムの指示があれば誰かの尾行することもあるし、送迎時にはカーチェイスになることもある。時に直接的な荒事もだ。
「ディーンはいいね」
 とサムは笑う。
「運転できて、腕っぷしも強くて、銃も使えて、即興で芝居もできるから本当に便利だ」
「そりゃどうも」
 ディーンは肩をすくめる。
「ただ、フォーマルな場に出たときの振る舞い方だけ、もう少し練習がいるね」
「へえ」
 フォーマルな場というのは、いわゆるサムの仕事の営業場面だ。得体の知れない居候にそんな仕事まで仕込もうというサムは、やっぱりちょっと変じゃないかとディーンは思う。
 サムの仕事には調査も色々必要で、ディーンは時々調査のやり方を相談された。狩の経験が長いので調査の経験値は高い。ただし却下されることも多い。
「ディーン、それじゃもろに犯罪だ」
「でも手っ取り早いだろう」
「もう少し、言い抜け出来そうなのを頼むよ」
「言い抜けねえ」
 違法行為はだめだ、と杓子定規ではないのが、雇い主としてのサムのやりやすいところだ。
「サム」はディーンの弟とそっくりだったが、ずいぶん年上に見えたし、言動も大人っぽい。
 ただし魔物や狩の話は一切しなかった。


この世界にはどうやら魔物も幽霊もいないらしい。あれこれ調べてディーンが出した結論は、ここは元居た世界とそっくりな、だがどうやら違う次元らしいということだった。街の名前もテレビのCMもよく知っているが、ディーンが知っているそれと少しずつ違う。
「じゃあ、ディーンは家族とはぐれたの?」
「そういう言い方をされるとガキみたいなんだが」
 気の毒そうにサムに言われて、ディーンはがりがりと頭をかく。
「はぐれたっていうか…まあそんなところか…」
 今になっても、ディーンにはよくわかっていない。
 黄色い目の悪魔を倒して、地獄の門を閉め、やっと終わったと思っていたところで何かが起きたのだ。
 しかし、魔物のことなど全く知らない相手にそんな話をした日には、間違いなく病院を勧められる。

 サムとは時々寝た。なんだかひどく落ち込んでいたので慰めてやりたくなって手を伸ばしたらそういうことになったのだが、ディーンが無性に寂しい時に向こうが構ってくるときもあり、始まり方はまちまちだった。
サムのセックスはずいぶんと優しくて、実はディーンの好みだった。そして二回目に寝た辺りから、サムが他の相手を家に呼ぶのを見なくなった。
ディーンはもしや自分の肩書きに恋人とかセフレとかが増えたのかと思ったが、どうもそういうわけでも無い。ディーンの方もなんとなくだったのでちょうどよかった。
帰る方法を探しつつも、日々を生きていくのも忙しい。サムの仕事は結構敵が多くて、ディーンは運転や射撃や格闘のスキルをフルに使う必要があった。
そうこうしているうちに結構な時間が経つ。

「帰る方法は見つかった?」
時々サムは尋ねてくる。
「いんや、まだだ」
「そう、早く見つかるといいね」
「そうだな」
そう言いつつ、少しずつ諦め始めてもいた。
『帰ってもどうする』という思いもしなくはないのだ。
父はもういないし、母の仇は打ち終わった。黄色い目の悪魔は倒した。地獄の門は閉めた。
そして弟は。

「一緒に行こうよ」
「僕は大学に戻るけど、ディーンも一緒に住めばいい。父さんもきっと喜んでくれるよ」
地獄の門を閉め終わり、お互いへとへとで夕飯を取りながら、ダイナーでそんな話をした。

狩をずっと止めたがっていたサムは、しばらくはディーンを探したかも知れないが、もう大学に戻り、ガリガリと勉強しているのだろう。きっと大丈夫。
ディーンがいなくても大丈夫だ。


異常気象のニュースがやたらと入ってきた。季節外れの雷に竜巻。雹。元の世界ならもろに悪魔の予兆だなと思いながらテレビを見ているディーンに、「急いでここに行って」とサムが言った。
「いや、なんでわざわざ雨風の中に」
というディーンを車に放り込み、サムが雷雨の中に突っ込んでいく。
「見てごらん」
指を指された先を見ると、何もない空間に、縦に亀裂がはしる。そして、
「ディーン!!!」
亀裂の間から、真っ青な顏が覗いた。
「サム!?」
「やっと来たか」
横からの呟きに驚いて振り向くと、雇い主が亀裂を指さす。
「ほら、お行き。迎えだよ」
「あんたは?」
とっさに何でそんなことを言ってしまったのかわからない。しかし雇用主はくすりと笑い、
「『僕の』兄貴は天国でドライブ中だから」
行って、とディーンの背中を押した。
「ディーン!早く!!」
少しやせた顔が叫ぶ。
 そしてディーンは手を伸ばし、生意気な顔を泣く寸前のように歪めている、弟の手を力いっぱい掴んだ。

End


ファイナル後サミーの所に異次元若兄が転がりこんで来る話でした。

見返すとジャンプがすごい。まあペーパーだから。

拍手[12回]

PR


忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne