ねえ、一緒に飲まない?
そう声をかけられた時、マーヴェリックは一瞬迷った。店でこうした誘いがあることは珍しくもないが、何となく今はまずい気がしたのだ。
「ごめん」
と首を振ると、そう残念、と相手はあっさり離れていく。
マーヴェリックは当初の目的通り二杯ほどのビールを飲んでから、ぶらぶらと官舎に歩いて帰った。
(ううん)
心の中で首をひねりながら空を見上げる。雲が多めだが合間に見える空はくっきりと澄んで星が多い。
先程なぜかルースターの顔が浮かんだ。ミッションのあと、また交流が復活した彼は、ここのところ休暇のたびに遥々大陸を横断してマーヴェリックの住むハンガーまでやってくる。
だがしかし、それと先程の誘いは関連がない、はずだ。
まあいい、大したことではない。
明日からはまたミッションに入る。
マーヴェリックは頭を地上から切り離し、明日飛ぶ空と機体のことを思った。
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