「最近、ディーンの雰囲気が変わったと思うんだよね」
サムがそう言うと、バンカーの中には微妙な空気が流れた。
「僕にはわからないよ」
大変素直な返事をしたのはジャックだ。他のメンツはそもそも視線を合わせようとしない。
カスティエルは最近気に入りのロマンス小説を黙々と読破しているところで、ベニーはテレビ画面をじっと見ている。
「そうかなあ、なんか、表情とか柔らかくなってない?」
「止めなよサム」
無言の拒絶を気にせずに続けるサムに、勇気をもってストップをかけたのはコーヒーを取りに来たケビンだ。
いつの間にやら賢者の秘密基地にも住人が増えた。
なにせ創造主がこのごろとみに気まぐれな性格をむき出しに適当なことをするので、生者も死者も魔物も天使もこの頃ではごったまぜだ。
「魔物を狩って人間を守る」
というウィンチェスター家の家業を厳密に行うことは、年々難しくなっている。
もとから人間以外の存在にもやや寛容だったサムはもちろんのこと、
「一度でも人間を害していたら狩る」
がモットーだったディーンも、近頃は大分軟化してきていて、訳ありの行き場のない関係者がどんどん増えている。
煉獄からまた戻って来た吸血鬼は、時々点滴パックの血液を飲みながら地元の店で毎日堅実に働いていて、バンカーの住人の中で一番堅気に近い生活をしていた。
で、今他の住民から顰蹙を買っているのが元からバンカーを寝床にしているウィンチェスターの二人だ。特に弟。
天使だの悪魔だの神だのとのごたごたがやや落ち着いた日々が多少続いていた間に、なぜかいい年をした兄弟でくっついたのだ。
それ自体はもういい。色々良くないが、神でさえいい加減な世界なのだからもういい。
だがしかし、いい年した野郎二人がもじもじもだもだくっつく過程を同じ屋根の下で日々見せられる側の身になってほしい。
天使と半天使は今一つ鈍いが、ごく普通の大学生だった預言者と、ごく普通の船乗りだった吸血鬼にはつらかった。知りたくないし見たくない。しかし出ていきたくても行く場所が無い。
挙句、色々盲目になっているらしい弟は、
「ディーン、出歩いて大丈夫かな」
などとそわそわ挙動不審になって他を巻き込んでいる。
「サム、好ましく思っている相手と性行為をすると、そのあと世界が明るく美しくなるという描写があちこちにでてくる。だからおそらくその現象は君だけに起きている」
「キャス、そういう露骨な言い方は止してよ」
カスティエルの指摘にサムが顔をしかめる。
いや、お前が悪い。
周囲の人間外の面々の心は再び一つになる。
と、そこにもう一人の家主である兄弟の兄の方がのっそりと入って来た。
「なにやってんだお前ら」
・・・・・・・・
というですね、なんかバンカーでわちゃわちゃやってるのが頭に浮かんだんですが、
山もなく落ちもなく、どこまで考えてもわちゃわちゃこのメンツでやってるだけなんですよね。
ケビンがジャックにチェロを教えてあげるくらい。
ジャックは兄弟とカスティエルが元気に揃っているので安心してて、
カスティエルはペーパーブックにはまって読書三昧。
ベニーは外で仕事しながら堅実に暮らしてて、
兄弟は狩りをしながらいちゃいちゃしていると。
あまりいちゃいちゃの気配を感じたくないので、みんな兄弟の部屋があるブロックではなくて、指令室を挟んで離れたところの部屋を寝室に使っていると思われます。
なんか書きたいんだけどネタが無い。
コーヒー飲んだり、ドラマ観たり、SNSに書き込みしたり、W一家的でいいかな。
………と思っていて没になりました。そのうちいいネタ思いついたら使おうと思います。
こういうごちゃごちゃ状態ならジャックも書けそうだなあ。
[16回]