えー、またもご無沙汰しております。
わが友より以前ネタをもらっておいて、なかなか進みがわるいロボサムと兄貴のAUネタがあるのですが、このまま手元で書いてるとずっと進まない気がするのでちょっとずつ載せます。
上手く終われば印刷屋さん応援も兼ねて紙にしたいけど、どうなるかなあ。
とりあえず書けたとこまで!
大彗星が接近する。
そのニュースが最初に流れたのはもう何年も前だった。
人間が宇宙に散らばって住むようになってからも天体ショーは人気があって、日食や流星群の折にはマスコミも世間も大騒ぎをする。
そのお祭り騒ぎのトーンが変わったのは一年ほど前だ。
彗星の軌道を計算しているどこかの機関が、大彗星の後ろにもう一つの彗星が隠れていたとかなんとかで、この星に接触する可能性について言い始めたのだ。
それからあっという間に大騒ぎになった。
もしもぶつかったらどうなるのか。次から次へと恐怖心を煽り立てるような憶測が流れ、パニックが起きた。
ほどなくこの星の人間全員を避難民として周囲の星が分担して受け入れるということが伝えられた。この星に住む全ての人間は脱出できる。
そのことが繰り返し報道されることで次第にパニックは収まり、住民は少しずつ移住を始めた。
それが半年くらい前だ。
その後の暮らし方はそれぞれだ。
ゆとりをもって移住しようとさっさと出ていく者(学生やまだ若い者に多い)、事業を畳むか迷う者、彗星が逸れることにかけて移住する者の不動産を買い集める者、はたまた移住するものの財産を保全するサービスを売りだす者。
しかし惑星ひとつまるごとの移民は尋常なことではない。
今はほぼ毎日惑星間移動用のシャトルが発着し、順次住民を送りだしていた。
「なんでぐずぐずしてるのか分からないよ。あんたにはパスが来てるし、ぼくはメモリーで移動できる。何が問題?」
サムの言葉にディーンはきっと眉を吊り上げた。
「簡単に言うな。パソコンのデータじゃねーんだぞ。取り外しなんかしたこともねーのに」
この星でアンドロイドがなぜここまで人間に近い情動を持つようになったのか、はっきりしたことはわかっていない。この星で産出される鉱石の特性だというのが定説だが、それが単なるプログラムのバグなのか、本当に何かが変化したのかは結論が出ていなかった。
ディーンとサムは兄弟だ。
兄弟として育った。
ディーンの父ジョンが、作成したアンドロイドをサムと名付け、二人は一緒に育ったのだ。
「先に行ったボビーから連絡が来た。クラウリーが起動しなかったそうだ」
「へえ」
ボビーは家族ぐるみで付き合いの合ったエンジニアで、クラウリーは彼のアンドロイドだ。
「全然?」
「多分。色々試してるみたいだけどな」
「科学の発展を待ちたいね」
茶化すような口調に思わず睨みつけるが、可愛げのないアンドロイドは動じない。
この星のアンドロイド政策の技術はあまりにも独自の発展をしてきたので、他の星系で頒布されているものと色々と企画が違う。
「発展を待てるならいいじゃないか。ここで地殻変動に巻き込まれて壊れたら待つこともできない。言っておくけど、僕だけじゃシャトルに乗れないんだからな」
続く
SDになるかわからないけど、心はSDなのでSDカテゴリで行きます。
[14回]
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