忍者ブログ
海外ドラマの超常現象の兄弟(SD)を中心に、頭の中にほわほわ浮かぶ楽しいことをつぶやく日記です。 二次創作、BL等に流れることも多々ありますので嫌いな方は閲覧をご遠慮くださいませ。
カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カウンター
アクセス解析
プロフィール
HN:
おくら
性別:
非公開
自己紹介:
二次元、三次元問わず楽しいもの大好き。
常に読むものが無いと苦しい活字依存症。
ブログ内検索
P R
バーコード
アクセス解析
[1022]  [1021]  [1020]  [1019]  [1017]  [1016]  [1015]  [1014]  [1013]  [1012]  [1011

とりあえず一冊目と煉獄ねた

分冊発行していたものをまとめた総集編としてだす、というせこい手のおかげで、とりあえずムパラの新刊、一冊目はめどがつきました。
静かな生活です。
編集とかまだこれからですが、少し寝かして見直しします。

心の余裕ができたので、没ネタをブログでいじろう。
上手く続きそうになったらまた紙にするか考えます。

その1
以前小ネタで出したS10冒頭のサムがS8冒頭の兄貴と会う話。






サムは何人目かの悪魔を縛り上げると木に吊るし、その腹を裂いた。
「僕の兄はどこだ」

黒髪の女は悲鳴を上げて身を捩るが無意味だ。肉体が借り物なのだから。縦に裂いた腹から内臓がぼとぼとと落ちる。
顔に腹に首に、ルビーのナイフが触れるたびに、火傷をしたように身体が跳ね上がった。
「知らないって言ってるでしょう!」
「信じないと言ってる」
「言えないのよ、ねえお願い」
何度目かのやり取りの後、血と汗で顔をどろどろにした悪魔がやけくそのように叫んだ。
「分かったわよ、会わせてやればいいんでしょう!?」
「最初からそう言っている。僕の兄はどこだ」
正確に言えば探しているのは「兄の死体」だ。
バンカーからディーンの遺体が消えてから数か月が経っていた。


 


 


気が付くとサムはうっそうとした林の中に立っていた。木が生い茂り、周囲には灯りもない。
手の中の鎖を引くと悪魔が呻く。そして少し離れた草むらを指さした。


サムはこちらに背を向けている人影を食い入るように見つめた。
ダークブロンドの背の高い男だ。白っぽいシャツを着て穴を掘っている。その背も、手慣れた動きも良く知ったものだ。
「ディーン」
身体に入りこんだ悪魔だ。何をやっているのか。
影は穴の上にかがみこんでいる。見つめているともう一つ人影が現れた。


型の古い上着を着た男は、ディーンが煉獄で知り合ったという吸血鬼だ。サムが見つめる視線の先で、二人は何か言い合い、ハグを交わして離れる。
「…どういうことだ」
サムは手に持った鎖を引く。血まみれの女が罵りの言葉を吐いた。
「死体のありかなんか知らないって言ったでしょ。過去に連れてきてやったのよ、あいつが煉獄から戻ってきた時に」





昔馴染みとけりをつけると言うヴァンパイアの姿が消えた後、ディーンは久しぶりに襲ってきた空腹感と眠気に戸惑った。
煉獄での日々は過酷だと思っていたが、そういえば飢えた記憶は無い。
腹はよじれるように何か入れろと訴えるが、周囲は林だ。

とりあえず睡眠だけでもとろう。
ディーンは考えるのを止め、ヴァンパイアの骨を掘りだした穴をそのままに目を閉じる。
普通まともな人間は林の中で転がって寝たりはしないだろうが、今も昔もまともだったことなどないから支障ない。。


不意に近づいてくる気配があり、飛び起きたディーンは身構えた。
闇から湧いて出たように、黒い影がぬっと現れる。
近づいてくる禍々しい気配を見つめた。


「…………サム?」
月明かりに照らされた姿に、これは現実かと戸惑う。片腕を吊った弟は、鎖でがんじがらめにした女を引きずっている。

「ディーン」
ディーンは応えられずに相手を見つめる。血走った目と削げた頬。荒み切った表情。姿かたちは同じでも、咄嗟に弟だと信じられなかった。
「ディーン」
何か言おうと口を開こうとしては失敗し、名前を呼ぶばかりで立ち尽くす姿が、不意に子供の頃と重なる。
「サム」
しがみついてきた身体を抱き返した。
「生きてるんだね、ディーン」
「多分な」
ぽんぽんとその背中を叩く。
「なにそれ」
「地獄に続いて煉獄に行ってきた」
「うん、お帰り」
驚いたようでもないのが意外な気もしたし、自分が消えた後、弟はこんな風に自分を探していたのかと驚く気持ちもあった。
必死に探すだろうとは思っていた。だがこれほどまでに荒むとは。
「ほら、会わせてやったわよ、離しなさいよ!」
足元で悪魔が叫ぶ。
「契約してないだろうな」
尋ねるディーンにサムは笑って首を振る。そして穏やかな表情のままで足元の悪魔にナイフを突き通した。


「それでさディーン」
ようよう身体を離して、サムは尋ねた。
「ん?」
「ここって、どの辺り?」
「…ルイジアナだろ」
なんで煉獄から帰ったばかりの自分が場所を訊かれるのか。不審な思いが顔に出たらしい。
サムが苦笑して、
「ぼくはほら、悪魔に連れてこられたからさ」
と肩をすくめた。


そろそろ移動しようぜ、とディーンが言いだして、二人は結構な長時間歩いた後、何とか場末のモーテルに転がり込んだ。
「何か食べる物を調達してくるから、ディーンはとにかくシャワーしてくれ」
チェックインを済ませるとサムはそう言って部屋を出ていき、ディーンは部屋をぐるりと見回した。


花柄の壁紙は変色しかけているし、けばけばしい色のベッドカバーとまるで合っていない。部屋は狭くて壁も薄い。
しかしながら久しぶりの屋根のある部屋だ。
ディーンは少しぼうっとしながらベッドに座りかけ、危うく穴掘りをしていたままの格好であることを思いだして立ち上がった。


何となく現実感がないままバスタブに湯を張る。
湯に身体を沈めると思わず声が出た。なにせ煉獄ではたまに水辺で手や顔を洗う程度だったのだ。
バスタブの中はあっという間に黒くなる。熱い温度が惜しくて限界まで頭や身体を洗ってから流した。
もう一度張り直してあらためて湯につかる。
湯が水に変わるまでシャワーを浴び続け、やっと浴室を出るとサムがちょうど帰ってきたところだった。

・・・・・・・・・・・

という感じに再会したタイムラグのある兄弟がしばらく平和に暮らす~と思ったんですが、
S8時点での平和な過ごし方ってなんじゃろうと突っかかっていたのでございます。
ブログだからところどころジャンプで書けるだけ書こう…



 

拍手[17回]

PR


忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne